働き甲斐と生き甲斐について(2)

2. 戦後の経済社会構造の激変と個人尊重の考え方に流されて

「あなたの好きなことをすれば良いんだよ。郷里に居る必要もないよ。あなたが興味の持てる、好きな仕事に就きなさい。そのために、パパとママは応援するよ。」と言って、現代の親は子育てをしています。

はたして、それで子供は本当に幸せに成れるのでしょうか? 物わかりの良い同意に留まって良いのでしょうか? 人間の幸せとは、他の人を出し抜き、他の人よりも高所得を得て、名声を得る事でしょうか?

数千人に1人の才覚に恵まれた子供ならば、確かにそれで才能を全面開花できるでしょう。

しかしながら、普通の人にはそうした競争至上主義の自己実現は不可能です。競争至上主義の考え方では、普通の人々は幸せと縁遠い生涯を送るしかなくなります。

中学や高校の同窓会に出席した子供が、一流企業や官公庁に就職した友達から、「君はどこなの?」と尋ねられて、「いや、たいしたとこではないから、いいよ。」と言葉を濁し、同窓会に行きたがらないこともあるでしょう。

(つづく)