働き甲斐と生き甲斐について(4)

4. 家族の中で、働く喜びを語り合える家庭をつくりたい

働く中での自己実現の喜びを親子で対話できる関係性を構築したいのです。そのためには、親の側が、働く中での自己実現の喜びについて、きちんとした哲学を確立しておくことが必要であると思います。

私達の会社の社員さん達が、働く中での自己実現の喜びを、自分の言葉で、それぞれの子供達に語れるような職場をつくりましょう。周りの人々の役に立っている実感、周りの人々から支えてもらって生きている実感、周りの人々と共に生き合っている実感を、日々感じられる中で生き合うことが人間の幸せであると思うのです。普通のありふれた仕事、地道な、まるで食うためだけに働いているに過ぎないと思われる職業に就いているとしても、その仕事がどのように人々の役に立っているかを生き生きと子供に語れる私達でありたいと思うのです。働く中での自己実現の喜びを自信を持って語れる哲学的、社会学的な力量を私達は養いたいと思うのです。

5. 働くことの価値についての考え方が、社会崩壊から私達を救い出す

価値観の多様性を認め合うことがこれからの人類の普遍的価値に成りつつある現代では、特定の思想・宗教・倫理の普及高揚運動では、世の中をよくしていくことは不可能です。価値観の多様化を認め合う現代においては、頭の中と文章と論争で優劣を競い合う思想・宗教・倫理では人々の合意形成は不可能です。

異なる価値観の人々が、等しく合意できる共通の基盤は、職業を通して役立ち合うことで、世の中と各人の暮らしが成り立っているという事実です。すべての人々が、「自分が食えれば良い。」というレベルを超えて、自分の仕事の社会的価値を問い、より良いものに改善していくことで、人類社会はより良いものに進化して行くと思われます。

(つづく)